Storyteller
森本鐵鋼産業株式会社 生産管理チーム 工場長
遠藤 大輝
生まれも育ちも板橋区。2019年より金属の廃材のリサイクル加工を担う森本鐵鋼産業株式会社に勤務し、2022年から工場長を務める。事業を通じてまちに恩返しをしたいという思いから、ダイバーシティ経営や次世代教育などに積極的に取り組んでいる。
製造業が多く集まる板橋区で、資源循環を促進
身の周りの建物には、再利用された鉄などの金属が使われていることをご存じでしょうか。板橋区小茂根にある森本鐵鋼産業では、工場や建設現場で出た金属の廃材を集めてリサイクル加工し、次の利用者へ販売するまでを一貫して行っています。
「血液が体内を循環するように、資源を社会に循環させるモデルを循環型社会と言います。モノづくりを担う製造業などを『動脈産業』と呼ぶのに対して、私たちは『静脈産業』にあたります。まちの中で、私たちがリサイクルを手がけた金属が使われている建物を見ると、誇らしく思います」
2020年には「いたばし good balance 会社賞」を受賞した森本鐵鋼産業。ライフワークバランスへの配慮や多様な人材の活用、すべての人が働きやすい環境づくりを推進した取組が評価されました。定年後の再雇用や障がい者雇用の実施もそのひとつ。今後、雇用枠をさらに拡大していく予定です。また、ひときわユニークな取組として、オリジナルのドリップコーヒーをつくる「モリプロ珈琲」プロジェクトも注目を集めています。
「元々学生インターンシップの一環として、当社の事業をコーヒーの焙煎体験を通じて説明していました。良い生豆を選び、焙煎するコーヒーづくりは、使える廃材を選別して加工する金属リサイクルの流れと似ているからです。回を重ねるうちに『これを事業化し、短時間で働けるように仕組みを整えれば、雇用機会を拡大できるのではないか』と思うようになり、プロジェクトを発足しました。現在は子育て中のお母さんをメインに、1日1時間から働ける環境をつくっています」
教育面でも地域に貢献したいと語る遠藤さん。インターンシップの受け入れに加え、2024年から区内小学校のサイエンスクラブより依頼を受け、工場見学や作業体験の機会を提供しています。
「次世代教育や企業との連携を通じて、板橋区内の資源循環を促していきたいですね。嬉しいことに、『いたばし産業見本市』※で知り合った企業の方からご相談をいただくこともあります。リサイクルはもちろん、今後はリユース販売にも力を入れ、幅広い業界の企業と協力できればと考えています」
まち全体を巻き込む森本鐵鋼産業の挑戦は、これからも続きます。
※ いたばし産業見本市:「ものづくりの板橋」で開催する、製造業を中心とした産業の祭典。区内製造業を中心とした企業が、優れた製品や技術をPRするビジネス展示会であり、2024年11月で第28回目の開催となった。
私の理想のいたばし!
リサイクルがまちの日常に溶け込み、資源が循環していく持続可能な板橋を実現したいと考えています。
私のちょこっとSDGs
プラスチックなど、リサイクル工程で出る金属以外の廃材を、専門の加工業者に回すなどして、なるべく多くの廃材をリサイクルできるように心がけています。