Storyteller
河島コンクリート工業株式会社 代表取締役
河島 慎吾
設立70周年を迎える河島コンクリート工業の四代目社長。「新しいことに挑戦し続けたい」という信念のもと、環境に配慮した新製品の導入や、ミキサー車のアートラッピング・AED搭載、次世代教育などに幅広く取り組んできた。就任以来10年にわたり、地域と業界の未来を切り拓く活動に取り組んでいる。
板橋に支えられた70年、恩返しの思いを原動力に
私たちの暮らしに欠かせない住宅や道路には、生コンクリート(通称「生コン」※1)という資材が使われています。河島コンクリート工業は、生コンの製造・運搬・販売を通して、半世紀以上にわたりまちの発展を支えてきました。河島さんは持続可能な生コンづくりに向けて、新しい技術や取組を次々と採用しています。
「CO₂を生コンの中に封じ込めることでCO₂削減に貢献する『カーボンキュア』※2という技術や、生コン製造時の廃棄物を活用した埋戻し材※3『スラモル』※4などの製品開発に取り組んでいます。スラモルには周辺のリサイクル工場から出る廃棄物も再利用しています」
また、生コンを20℃前後に保つために、夜間電力で作る冷却水を使って環境負荷を低減。水による生コン冷却や「カーボンキュア」の採用は、業界内でも限られた工場だけが手がける先進的な取組です。こうした挑戦の背景には、板橋のまちと生コン業界への強い思いがあります。
「ここまで事業を続けてこられたのは、お客様や社員はもちろん、板橋の皆さんや、新河岸工業地帯でともに働く地域企業の皆さんの支えがあってこそ。70年の歴史がある会社として地域にも業界にも貢献したいと思っています」
その思いが表れているのが、生コンを運ぶミキサー車。車体にアーティストによるデザインが施され、「走るアート」としてまちを彩っています。さらに、万が一の際に従業員や通りすがりの方を助けられるよう、AEDが搭載されている点も特徴です。
社内のAED導入事例と、その背景にある想いについて、河島さんはこう語ります。
「今年5月に、社内にあったAEDで社員の命が助かったことがありました。その経験から、ミキサー車を含む一部の社用車への搭載に加え、全社員の家庭へのAEDの貸し出しに踏み切りました。区民の皆さんや従業員の命を守る一助となるなら、意義ある取組だと思っています。『走るAED』が業界に広がり、『一家に一台AED』が浸透していけば嬉しいです」
まちへの貢献として次世代の教育支援にも注力しています。近隣の新河岸小学校とは特に深い関わりがあり、2011年から毎年、高学年の工場見学を実施。さらに中高生の職業体験やインターンシップの場も積極的に提供しています。
「私自身、小学生の頃の工場見学の記憶が今も残っています。少しでも子どもたちの心に残る体験を提供したいと思い、依頼があればすべて受け入れています」
環境への配慮、命を守る備え、そして次世代を育む取組。その根底にあるのは、板橋と生コン業界をより良くしたいという揺るぎない思いです。河島コンクリートの挑戦は、これからもまちと産業の未来を支え続けます。
※1 セメント・砂・砂利・水・混和剤を混ぜ合わせた、まだ固まる前の状態のコンクリート。時間が経つと硬化してしまうため、一般的には製造から約60分以内に作業現場へ届ける必要がある。
※2 CO₂を液体化して、生コンの中に閉じ込める技術。CO₂の削減とコンクリートの強化を実現できる。
※3 基礎工事などで土地を掘ったあと、地盤を再び安定させるために流し込む材料のこと。
※4 スラッジ水(生コンの製造過程で出る泥状の洗浄水)とモルタル(セメントや砂、水から作られる建築材料)を組み合わせた商品。生コン製造時に発生するセメントのかすや、リサイクル工場から出る砂などを再利用して作られ、建物の基盤を固める際の埋戻し材として使用される。
私の理想のいたばし!
いたばしのかたちから想像を膨らませた理想のいたばしを描いてみました。
鮮やかなアートミキサー車が走り回り、アートとAEDが人の心を動かし、ほんの少しでも街の人々を笑顔に出来れば幸せです。
私のちょこっとSDGs
事務所や工場には断熱・遮熱性能に優れた塗料「ガイナ」※5を採用することで冷暖房効率を向上させ、CO₂排出量の削減に貢献しています。
※5 断熱・遮熱性能をもつ多機能塗料。約0.4mmの薄い塗膜で熱を通しにくくし、冷暖房効率を高めるほか、消臭・空気清浄・防音にも効果を発揮する。工場設備の結露やサビの発生も抑えられる。