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すべての人が見て、触って楽しめる。
余ったシールを活用した
インクルーシブなイベント

2025.09.25
目標4
目標17

Collaboration!

株式会社日本ラベル

平山 雄太

株式会社日本ラベル代表取締役社長。同社は1981年に創業し、以来40年以上にわたり、シールや値札、ポップ、ラベルなどの印刷を専門に手掛けている。近年ではFSC認証 やGP(グリーンプリンティング)認定の取得など、環境配慮への取組にも積極的に尽力。

さわる絵本づくりラボ

前田 善志

デザイナーとして活動する一方、幼児や視覚障がい児向けの絵本制作に取り組む。2019年ボローニャ国際絵本原画展※1入選を経て絵本「さんかく おさかな かくれんぼ」(フレーベル館)を出版。近年は「さわる絵本」の研究・制作に注力し、触覚を通じて誰もが楽しめる絵本の普及に寄与している。

※1 イタリア北部のボローニャで、児童書専門のブックフェア(Bologna Children’s Book Fair)に伴うイベントの1つとして開催されている、絵本原画コンクール。
 

さわる絵本展のインクルーシブな魅力

手と目で楽しむさわる絵本展『Tocco Tocco』は2025年8月1日から11日までの間、ボローニャ絵本さんぽ2025の一環として開催されました。『Tocco Tocco』では、メイン会場のさわる絵本展示やワークショップ開催に加え、異なる手触りのシールを周辺の3つの店舗で配布する「触感シールスタンプラリー」を実施しました。

 

 

さわる絵本づくりラボさんが『Tocco Tocco』を開催した経緯、および日本ラベルさんと協力して実施した「触感シールスタンプラリー」についてお聞かせください。

前田さん さわる絵本とは、紙や布、金属などのさまざまな材質を使って物語の情景を表現した絵本です。本展ではさわる絵本の知名度向上を目的に、TOKYO SOCIAL DESIGNのギャラリーとその周辺のお店の4会場で、触って楽しめる作品の展示を実施しました。さわる絵本は名前の通り「触覚」「手」が中心のコンテンツで、目の見える方も見えない方も物語を楽しめる点が特徴です。今回の展示会でもその両者が楽しめる企画をと考え、さまざまな企画を検討しました。そこで日本ラベルさんがシールの端材に困っているという話をTOKYO SOCIAL DESIGNさんから聞き、協力することはできないかという想いでお話をもちかけました。

平山さん シール印刷会社である弊社は、印刷の際に出てしまう端材を何かに再利用できないかと考えていました。私たちは紙やインクが不可欠な印刷業だからこそ、大豆由来インクの使用や、FSC森林認証・グリーンプリンティング認証の取得など、環境にやさしい取組を意識しています。そんな中、さまざまな材質の端材を使った「触感シールスタンプラリー」の相談をいただいたときは、非常にいい企画だと思いましたね。

前田さん 一口にシールと言っても、ざらざらしたクラフト紙や和紙、つるつるしたコピー用紙のような材質など、その素材はさまざまです。最初は手の形をしたシールを作ることだけが決まっていました。そこからシールの貼り方や会場とシールの関連付けなど、どんどんアイデアが膨らんでいき、最終的にはすべての人がシールを通じて思い出を残せる企画になったと思います。

平山さん こだわりの一つがシール台紙の形で、目の見えない方でもシールを正しい位置に貼れるよう工夫しました。シールの台紙とスタンプラリーの紙の大きさを合わせて、2つの上辺をそろえることで狙った位置にシールを貼れる仕組みにしたのです。

前田さん 質感と色の部分にもこだわりました。3つの店舗で配布した3種類のシールそれぞれが、もらえるお店で得られる感覚を、視覚的・触覚的に感じさせるようになっているのです。たとえば、パン屋さんでもらえるシールには茶色のクラフト紙を使用し、パンの色と表面のざらざら感を体験できるようにデザインしています。

平山さん 目の見えない人にも楽しんでもらえるシールづくり、というこれまでとは違う分野に挑戦して、シールの可能性の広がりを感じられました。シールのどこにでも貼り付けられるという特徴や触った時の質感などを活かせば、もっといろいろなものが作れるのではないかと思いましたね。

さわる絵本とシールの可能性を語る平山さん(左)と前田さん(右)
さわる絵本とシールの可能性を語る平山さん(左)と前田さん(右)
シールスタンプラリーの台紙とシールの貼り付け
シールスタンプラリーの台紙とシールの貼り付け

 

――今後の活動の展望をお聞かせください。

前田さん 初めての展覧会開催を通じて、「さわる絵本」がすべての人にとって楽しめるものであることを強く実感しました。目が見える方は、「触感の面白さ」と「見た目の面白さ」の両面から作品を楽しむ一方で、目の見えない方も同じ絵本から得た感想を隣にいる視覚障がいの方や目が見える方と共有し、語り合う姿がありました。改めてさわる絵本の意義を感じたとともに、いつかはさわる絵本がもっと多くの人の手にわたればと思います。

平山さん シールは子どもたちをはじめ多くの方に愛されるものだと思っています。今回前田さんからお話をもらって、シールを完成させるために、目の見えない人にどうやって貼ってもらうか、触感からどんなことを思ってほしいか、などさまざまなことを考えました。やっぱりおもしろい要望をもらったら必ず応えたいという気持ちがあるので、これまでのシール印刷業の知見を活かして、今後も新しいことに挑戦したいと思います。

『Tocco Tocco』の展示の様子
『Tocco Tocco』の展示の様子
『Tocco Tocco』ではたくさんのさわる絵本も体験できました
『Tocco Tocco』ではたくさんのさわる絵本も体験できました
ワークショップで制作された作品たち
ワークショップで制作された作品たち
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